中小企業診断士が教える一次試験勉強の時間配分

中小企業診断士の一次試験に必要な科目は以下の7個です。

企業経営理論、財務・会計、運営管理(オペレーション・マネジメント)、
経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策

では、この7科目に等しく勉強時間を割くのでしょうか?

答えはもちろんNOです。

その理由と共に大まかな勉強時間の配分をご紹介させていただきます。

一次試験科目の勉強時間に傾斜をつける理由

二次試験で問われる科目と問われない科目があるからです。

●二次試験で問われる科目:
企業経営理論、財務・会計、運営管理(オペレーション・マネジメント)

●二次試験で問われない科目:
経済学・経済政策、経営法務、経営情報システム、中小企業経営・中小企業政策

二次試験で問われる科目(3つ) VS 二次試験で問われない科目(4つ)
ではどちらに軍配が上がるのでしょうか?

以下のような対応関係があるため、二次試験で問われる科目(3つ)
を重点的に勉強します。

●企業経営理論:
二次試験 事例I(組織(人事を含む)を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例)
二次試験 事例II(マーケティング・流通を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例)

●財務・会計
二次試験 事例IV(財務・会計を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例)

●運営管理(オペレーション・マネジメント)
二次試験 事例III(生産・技術を中心とした経営の戦略及び管理に関する事例)

それはそーですよね!

大学入学共通テスト(昔のセンター試験)で言ったら、
二次試験が英語と理系科目だけなのに古文・漢文頑張って勉強するみたいな感じです。

とはいえ、試験案内に↓の合格基準(1科目でも40%未満のないこと)
が定められているため、傾斜のつけ過ぎには注意が必要です。

第1次試験の合格基準は、総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないことを基準とし、試験委員会が相当と認めた得点比率とします。

令和2年度(2020年度)中小企業診断士 第1次試験案内・申込書

一次試験の勉強時間配分はどのくらい?

100時間勉強をするとした時、以下が勉強時間の目安です。
※全科目が初学であることを前提とする
※得意科目や免除科目がある場合は適宜時間配分を調整する
※著しい苦手科目がある場合は適宜時間配分を調整する
 40%を下回ったらアウトなので・・

二次試験で問われる科目(3つ) :65時間
 ┗企業経営理論        :23時間          
 ┗財務・会計         :28時間
 ┗運営管理          :14時間

二次試験で問われない科目(4つ):35時間
 ┗経済学・経済政策      :11時間
 ┗経営法務          :9時間
 ┗経営情報システム      :8時間
 ┗中小企業経営・中小企業政策 :7時間

ちなみに傾斜をつけずフラットに勉強した場合、
1教科あたり約14.3時間かけることになります。

このように圧倒的に企業経営理論と財務・会計に時間をかけることになります。

それぞれの科目について説明していきます。

企業経営理論

企業経営理論は二次試験の全4事例中2つ(事例I・事例II)の出題範囲となっていることもあり、中小企業診断士試験の中核となる科目です。

下記出題範囲内の専門知識一つ一つが難しいことに加えて、これらを中小企業の事例に応用できるレベルで理解しアウトプットできるようにする必要があります。

一問一答のように専門知識をただ覚えて引き出せるだけでは不十分です。

まとめると企業経営理論は二次試験の出題範囲の半分を占めており、かつインプット/アウトプットの難易度が高いため、時間をかけてじっくり学ぶ必要があります。

事例Iに対応する企業経営理論の出題範囲
1.経営戦略論
⑴ マネジメント・サイクル、期間別経営計画、意思決定の階層構造、経営管理の原則、意思決定プロセス
⑵ 外部環境分析・内部環境分析、事業領域(ドメイン)の決定、階層別戦略(事業戦略、機能戦略)、戦略立案プロセス、組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)、組織文化と戦略
⑶ 成長のマネジメント、多角化(シナジー、多角化戦略の分類)、M&A、戦略的提携
⑷ 経営資源、PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)
⑸ 業界の競争構造分析、競争回避の戦略、競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)、デファクト・スタンダード、コア・コンピタンス
⑹ 技術戦略(技術戦略の策定(技術の特徴把握・評価、自社資源の評価、外部資源の活用(共同開発、技術導入 等))、特許戦略)、研究開発管理(研究開発組織(組織形態、管理者の役割、技術者の人事管理と能力開発)、研究開発計画と開発プロセス、予算管理と特許管理)、イノベーションのマネジメント、知識経営(ナレッジ・マネジメント)

2.組織論
⑴ 組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)、組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整、権限と責任)
⑵ 意思決定システム、モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)、モチベーション管理、モラール管理、リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)、経営者・管理者行動、組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)、組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)、組織間関係(組織間関係の類型、分析モデル(資源依存、組織正当性、エージェンシー、組織エコロジー)、ネットワーク組織、クラスター)、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、組織のパワーとポリティクス、組織変革(チェンジ・マ
ネジメント)
⑶ 労働関連法規(労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働保険、社会保険、労働者派遣法)、人事・労務情報(職務分析の意義と方法、人事考課の意義と方法)、雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)、能力開発(教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)、能力開発の方法(OJT、Off-JT、自己啓発)、組織開発の意義と方法)、賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法)、作業条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)、経営戦略と人的資源管理の適合性

令和2年度一次試験試験案内(試験科目設置の目的と内容)から抜粋

事例IIに対応する企業経営理論の出題範囲
3.マーケティング論
⑴ マーケティングの定義、マーケティング・コンセプト、マーケティングの機能、ソーシャルマーケティング
⑵ マーケティング目標設定(目標売上高、目標利益、市場占有率)、標的市場の設定と接近(市場の分類、総合的市場接近法、市場細分化接近法)、マーケティング・ミックス(製品ライフサイクル、マーケティング目標と戦略、マーケティング・ミックスの展開)、市場調査の意義と方法(市場調査の目的、対象領域、種類、プロセス)
⑶ 消費者行動の決定要素とプロセス(基本的決定要素と環境的決定要素、消費者行動のモデル)、心理的決定要素(ニーズ、動機付け、態度、学習、パーソナリティ)、社会的決定要素(家族、準拠集団、社会階層、文化)、意思決定(評価基準、ブランド選定の規則)
⑷ 製品の意義(製品の定義、製品の種類:消費者用品(最寄り品、買回り品、専門品)・産業用品(原材料、主要設備品、補助設備品、構成部品、加工材料、業務用消耗品、業務サービス))、プロダクト・ミックス(定義、プロダクト・ラインの幅と深さ)、ブランド計画(ブランドの利点、種類、ブランド・ネーム、マルチブランド、ブランド・ポジション)、パッケージング計画(意義、目的、開発)
⑸ 市場性評価(市場動向分析、競合分析)、マーチャンダイジング(製品企画・仕様・デザイン、製品技術・製造コスト、テストマーケティング、製造計画、商業化(市場化)計画)
⑹ 価格計画の目的と設定要因(価格目的、価格決定の検討要因、価格決定プロセス)、価格政策(開拓的価格政策、心理的価格政策、販売促進的価格政策)、価格決定(費用志向的価格決定、競争志向的価格決定、小売価格の決定、製造業における価格調整)
⑺ 流通チャネルの機能と種類(チャネルの目的、機能、チャネル統合、チャネルの種類)、流通チャネル政策(開放的流通チャネル、選択的流通チャネル、専属的流通チャネル、流通チャネルの評価と管理)、物流(受注処理、物資の取扱い、保管、在庫管理、輸送、サプライチェーン・マネジメント)

令和2年度一次試験試験案内(試験科目設置の目的と内容)から抜粋

財務・会計

財務・会計も二次試験の全4事例中1つ(事例IV)の出題範囲となっているため、企業経営理論と並んで中小企業診断士試験の中核となる科目です。

財務・会計は出題範囲が広く、解答に「計算」が伴うため一気に難易度が上がります。
※出題範囲の掲載は割愛

また、二次試験(事例IV)では、与件文・貸借対照表・損益計算書の中から必要な値をピックアップして指標等を計算することが短時間で求められるため、「熟練」が必要となります。

参考ですが、TACの講義数において財務・会計が最多であることからも
内容が多く習得に時間を要することがわかります。

ちなみにTACでは1コマの講義時間は3時間弱です。

<TACの一次試験講座の講義数>
財務・会計:10
企業経営理論:8
運営管理(オペレーション・マネジメント):7
経済学・経済政策:7
経営法務:6
経営情報システム:6
中小企業経営・中小企業政策:4

運営管理の配分をやや下げる理由

運営管理も二次試験(事例III)で問われるはずであるのに
なぜ企業経営理論や財務・会計と比べて時間配分を少なくするのでしょうか?

という疑問を持たれる方もいると思います。

運営管理で求められるアウトプットが暗記科目的であること、
「二次試験(事例III)で使われる一次試験の専門知識」のボリュームが企業経営理論や財務・会計と比べて少ないことがその理由として挙げられます。

※運営管理の専門知識を事例III用にカスタマイズして覚え直します
※一方、企業経営理論の場合、労働関連法規等を除いたほぼ全てが二次試験で問われます

最後に

中小企業診断士の一次試験にかける時間配分を説明しました。

全くの初学者を想定した時間配分となりますので、
免除科目がある方は適宜配分を変えてください。

※経済学・経済政策、財務・会計、経営法務、経営情報システムは
 特定の資格を保有することで免除可能です。

一次試験はただ受かればいいというものではなく、
二次試験に繋がるように勉強しなければなりません。

そこで、今回の記事では時間配分について説明いたしました。
※そのための具体的な勉強方法は別の記事で説明予定

中小企業診断士試験の受験生にとって少しでも役に立ったことがあれば幸いです。

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