中小企業診断士が教える二次試験(事例I)での活用に向けた一次試験の覚え方!

中小企業診断士試験をストレート合格(一次・二次試験同時合格)するために必要な一次試験の勉強方法をご紹介します。

「一次試験は合格したのに二次試験は全然できるようにならない!なぜだ?!」

という方は多いのではないでしょうか?

二次試験のお作法がしっかり身についていないことも一因であると思いますが、
そもそも一次試験の専門知識が正しく身についていない可能性が高いと思います。

本記事では一次試験の専門知識の活用が特に求められる「事例I」について、
対応する一次試験科目(企業経営理論)の覚え方をご紹介します。

私自身は二回目の受験で合格しましたが、一回目の時の反省を元に記事を執筆しています。

中小企業診断士の二次試験とは?

試験案内を見ると、二次試験は「中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定…」という記載があります。

だから、何を書いてもよいわけではなく、一次試験で問われた専門知識(以降、セオリーと呼ぶ)を活用して解答を作成しなければなりません。

よって、あなたのコンサル経験をベースに解答を作っても不正解となります。

中小企業診断士は「国家資格」であり、国が能力のお墨付きを与えるため、当然そうなります。

答えは公表されないが、存在はしていてそれに基づいて採点されることを肝に命じてください。

中小企業診断士試験は、「中小企業支援法」第12条に基づき実施されます。
第2次試験は、「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」に基づき、中小企業診断士となるのに必要な応用能力を有するかどうかを判定することを目的とし、中小企業の診断及び助言に関する実務の事例並びに助言に関する能力について、短答式又は論文式による筆記及び口述の方法により行います。

令和2年度(2020年度)中小企業診断士第2次試験案内・申込書

なぜ事例Iを選定したのか?

二次試験に繋がる一次試験の勉強法を説明するために
「事例I」を取り上げた理由を説明します。

「事例I」は一次試験のセオリーの活用が特に求められるからです。

すなわち、「事例I」は問題文・与件中に存在しない一次試験のセオリーを想起し、
それを組み込んで解答を作ることが必要となります。

この「一次試験のセオリーを想起すること」はとても難しく、
漠然と一次試験を解いているだけでは身につかないため以降の節でコツを説明します。

一方、「事例II〜IV」においても当然一次試験のセオリーを知っておく必要がありますが、
「事例I」ほど多くのセオリーが求められるわけではありません。

「事例II〜IV」では二次試験用に限定・カスタムされた一次試験のセオリーを覚え、
解法としてそれらを使えるようにしておく必要があります。

要は「事例II〜IV」に関しては一次試験と二次試験の繋がりが比較的薄いため、
二次試験用に一次試験の一部のセオリーを覚え直します。

事例Iでの活用に向けた一次試験セオリーの覚え方

それでは、事例Iで活用できる一次試験(企業経営理論)の覚え方を紹介します。

一次試験セオリーの覚え方

以下のルールにしたがって一次試験の問題を覚えてください。

対象となる問題
  1. 「直近年度」の問題の優先度高として2年度分程度
    令和2年度に二次試験を受ける場合、令和2年度と元年の一次試験が対象
    ※優先度としては直近の令和2年度の方が高い
  2. 各資格予備校の解答で”重要度高”となっている問題の優先度を上げる
対象となる分野

事例Iの出題範囲は下記”引用”の通りとなります。
緑字は出題頻度が低いので優先度を下げました。

事例Iに対応する企業経営理論の出題範囲
1.経営戦略論
⑴ マネジメント・サイクル、期間別経営計画、意思決定の階層構造、経営管理の原則、意思決定プロセス
⑵ 外部環境分析・内部環境分析、事業領域(ドメイン)の決定、階層別戦略(事業戦略、機能戦略)、戦略立案プロセス、組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)、組織文化と戦略
⑶ 成長のマネジメント、多角化(シナジー、多角化戦略の分類)、M&A、戦略的提携
⑷ 経営資源、PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)
⑸ 業界の競争構造分析、競争回避の戦略、競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)、デファクト・スタンダード、コア・コンピタンス
⑹ 技術戦略(技術戦略の策定(技術の特徴把握・評価、自社資源の評価、外部資源の活用(共同開発、技術導入 等))、特許戦略)、研究開発管理(研究開発組織(組織形態、管理者の役割、技術者の人事管理と能力開発)、研究開発計画と開発プロセス、予算管理と特許管理)、イノベーションのマネジメント、知識経営(ナレッジ・マネジメント)

2.組織論
⑴ 組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)、組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整、権限と責任)
⑵ 意思決定システム、モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)、モチベーション管理、モラール管理、リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)、経営者・管理者行動、組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)、組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)、組織間関係(組織間関係の類型、分析モデル(資源依存、組織正当性、エージェンシー、組織エコロジー)、ネットワーク組織、クラスター)、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、組織のパワーとポリティクス、組織変革(チェンジ・マネジメント)
⑶ 労働関連法規(労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働保険、社会保険、労働者派遣法)、人事・労務情報(職務分析の意義と方法、人事考課の意義と方法)、雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)、能力開発(教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)、能力開発の方法(OJT、Off-JT、自己啓発)、組織開発の意義と方法)、賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法)、作業条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)、経営戦略と人的資源管理の適合性

令和2年度一次試験試験案内(試験科目設置の目的と内容)から抜粋
一次試験セオリーの覚え方
  1. 間違えている選択肢は正解にする
    正しい選択肢だけではなく、間違えている選択肢も正解に直して覚える。
  2. 否定文を肯定文に直す
    否定文で覚えた場合、肯定文に変換してから二次試験の問題に適用する必要があるため、脳内処理が多くなりテンポが悪くなる。したがって、初めから肯定文で覚える。
  3. 自分の言葉で短い文章に置き換える
    セオリーを咀嚼して自分の言葉に直し、短くまとめることで二次試験の問題で想起しやすくする。
    ※一つの選択肢でセオリーが複数登場する場合は、全体として少し長めの文章になってもOK

覚え方の実例

実際の過去問を通して一次試験の覚え方を確認しましょう!

「一次試験の選択肢を二次試験で使えるように変換した箇所」を青字で書いています。

令和二年・第一問

VRIO フレームワークにおける競争優位に関する記述として、最も適切なものはどれか。

ア ある経営資源が数多くの企業に保有されていても、外部環境の機会を適切にと
  らえ脅威を無力化するものであれば、この経営資源は一時的な競争優位の源泉となる。
  その経営資源に希少性があれば一次的な競争優位の源泉になりうる
イ 経営陣のチームワークや従業員同士の人間関係などの組織属性が経済価値を生み、
  希少性があり、かつ他の企業による模倣が困難な場合、この組織属性は企業
  の一時的な競争優位の源泉となる。
  経済的な価値、希少性、模倣困難性、組織が揃っているため”持続的な
  ”競争優位の源泉となる

ウ 組織内のオペレーションを他の企業に比べて効率的に行うことができる
  技術やノウハウが、業界内で希少である場合、模倣困難性を伴わなくても
  企業の一時的な競争優位の源泉となる。
  他社に模倣されるまでの一次的な競争優位の源泉にはなり得る
エ 他の企業が獲得できない経営資源が経済価値を持ち、業界内で希少である場合、
  その経営資源を活かす組織の方針や体制が整っていなくても、
  持続的な競争優位の源泉となる。
  経済的な価値、希少性、模倣困難性、組織の4要素の内、組織が揃っていれば
  持続的な競争優位の源泉となる

  ※「他の企業が獲得できない」を模倣困難性ありと解釈

令和二年・第四問

ア PIMS(Profit Impact of Market Strategy)プログラムでは、市場シェアの追求
  と知覚される相対的な品質の追求は両立できないことが、明らかにされている。
  市場シェアと知覚される相対的な品質は収益性向上の主要因であり、
  両者は連動したものである。

イ 経験効果における習熟度は業界の特性に関わらず一定であるために、累積生産
  量の増加に伴う単位当たり費用の変化は、いかなる業界においても同様の習熟度
  を係数とする式で示される。
  経験効果(経験曲線効果)は累積生産量が倍増するたびに”一定”の比率で単位あたり
  のコストが減る減少である。この一定の比率が習熟度であり業界毎に異なる。

ウ 経験効果を利用したコスト・リーダーシップを追求する場合には、競合企業よ
  りも多くの累積生産量を達成するために、できるだけ早い時点で参入することが
  有効な方策となる。
  累積生産量は操業期間の長さに比例する。従って、競合よりも多くの累積生産量
  を達成するために早期参入するのは正しい。

エ 製品差別化が有効である場合には、価格が上昇しても、競合する製品への乗り
  換えが生じにくいことから、需要の交差弾力性は高い。
  製品差別化が有効である状態は顧客は自社製品と他社製品を異なるものと認識し、
  かつ支持をしていることを意味するため、前段は正しい。
  需要の交差弾力性とは、A財の価格が変化した時にB財の需要がどう変化するかを
  表すものである。製品差別化が有効であればA財(自社製品)の価格が変化しても
  B財(他社製品)の需要の変化は少ない

オ 範囲の経済は、多角化を進める要因であることから、特定の事業において
  コスト・リーダーシップを追求する上では、影響をもたらさない。
  範囲の経済を獲得するか?
  それとも、特定領域でコスト・リーダーシップを追求するか?
  事業展開する上で、両方の効果を考慮する必要がある

令和二年・第十九問

期待理論における、組織メンバーのモチベーションの水準を規定する要因に関す
る記述として、最も不適切なものはどれか。
得られる報酬がもつ魅力「誘意性」とその報酬を獲得できる主観的確率「期待」
の積和がその活動に対する動機付けの強さとなる

ア 成果が自身の報酬につながるかについての認知
  (3/3)業績(成果)が望ましい報酬に繋がるという期待が重要
イ 他者の報酬と比較した自身の報酬に対する認知
  期待理論の報酬に対する認知は他社との比較ではなく本人の問題
ウ 努力することで成果をあげられるかについての期待
  (2/3)努力すれば報酬(成果)が得られるであろうという期待が重要
エ 報酬がもたらしうる満足の程度
  (1/3)報酬がもつ魅力「誘意性」が重要

最後に

一次試験はただ正解できればよいものではなく、
その先の二次試験で呼び出して、応用できるようにしなければなりません。

事例Iでは特にこれが求められるため、今回の記事で取り上げました。

もし漠然と一次試験の勉強をされている方がいらっしゃれば
ぜひ軌道修正していただければと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました。

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